第24章 かぼちゃ
ー穂波sideー
階段のところで蛍くんとおやすみをしてわかれた。
蛍くんの言っている意味はわかる。
きっとわたしもそう思うだろうって。
でも、想いを寄せられてるのが自分となると、こんがらがる。
ぐちゃぐちゃと考えても仕方ない。
蛍くんも本当に思っていることを言ってくれてるように思うし、
信じようって、いつも結局そこに行き着いてしまう。
…それでいいのかな。
あぁ、また繰り返してしまう。もういい!
研磨くんにメールをして、寝ることにする。
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8月26日(日)
4:30
朝食準備の時間までまた本を読む。
一泊だから練習終わりのビブス以外、洗濯もないし、
朝食準備まではのんびりだ。
長期合宿のときに京治くんがくれた本。
読み出すと止まらない本。
空を見上げるのも忘れて、中庭で本の世界に没頭する。
「穂波ちゃん、おはよう」
『 ! 』
「あ、ごめん。びっくりさせちゃったね」
『…京治くん。おはよう』
「何読んでるの?」
『この間京治くんにもらった本だよ』
「そっか、入り込んじゃうよね、それ」
『そう、だから変に驚いちゃってごめんね』
「いやいや、穂波ちゃんが謝るとこでは…」
『タヒチでは朝も夜も何かとやっててあまり読み進まなくって。
帰ってきてから、一旦開くと止まらない、を繰り返してるよ。京治くん、ありがとう』
「ううん、とんでもない」
京治くんはわたしの隣にそっと腰掛ける。
『あ、あのねタヒチで会った〇〇さん。
京治くんにも会ってみたいなぁって言ってた』
「…俺?なんでまた」
『丸の内の書店での話をしたんだけど、何か気になることがあったのかな』
「…俺は普通なのにね」
『…ふふ。普通か普通じゃないかはよくわかんないけど、京治くんの人柄は魅力的だよ』
「…あぁ、ありがとう」
『そう、それでね、〇〇さんも東京にご在住だからさ、またご飯でも食べようって。
その時にね京治くんも呼べたら呼んでって言ってた。
そんなことがあったら声かけてもいいかな?春高が落ち着いてからとかかな。
それか、部活後の夕飯とか?』
「え、あ、うん。世界的な作家の方とそんな風に会うかもしれないなんて、
ちょっと、想像がつかないけど。もちろん、喜んで」