第23章 high
ー月島sideー
今日の夜中に出発。
新幹線とかせめて特急とか使えたら移動は幾分マシになるのに。
まぁ、いろいろあるよね。わかるけども。
【今日の夜、話せる?】
夕方に送ったメールには既読がつかない。
ちぇっ
僕はもう若干恋人きどりになってはしないか。
そんなことを思いながら。
夕飯を食べ終え、風呂にも入って集合時間までの時間を潰す。
仮眠取りたいくらいだけどそしたらバスで寝れなくなる。それはそれでキツい。
【蛍くんー遅くなっちゃった まだよければ電話どうぞ◎】
22時前にメールが来た。
躊躇なく通話ボタンを推す。
駆け引きなんていらない。
『はーいもしもし。かわいい蛍くん♡』
「なっ…」
『…ふふ。メールしたらすぐ電話くれて胸がきゅうんとしちゃった』
「………」
『…蛍くん?』
「好きだから、仕方ないんです」
『ひゃあ…』
「…あ、今日レッスンか。だから遅いの?」
『うん。ごめんね、遅くなって。何してた?』
「家出るまで何して時間潰そうかなって。
穂波さんから返事来ないしなーってしてました」
『そっか。…ふふ』
「穂波さんは、いま帰ったとこ?」
『ううん。帰って軽くご飯食べて、シャワーしていま寝る前の時間だよ』
「…そっか、じゃあほぼほぼ一緒だね。僕は寝れないけど」
『そだね、バスで少しでもちゃんと寝たいもんね』
「そういえば、キスしたこと言わないの出来てるの?」
『へっ… あ… それなんだけど………』
…言ったんだ。
「言ったんだね。大丈夫だった?」
『うん、ちゃんと話したら大丈夫だった… 蛍くんの言ってくれたようにできなくてごめんね』
「いや別に、それはいいけど。喧嘩とかにはならないの?」
『うん、ならなかった。イライラはさせちゃったけど。 …うーん』
「へぇ…じゃあ今度はもっと先に行ってみようかな」
『へっ えっ ななっ何言ってるの蛍くんッ』
「ぷっ 笑 …冗談、ではないから。僕が穂波さんのこと好きだって忘れないでね」
『あっ あだだだ………』
「あだだだって 笑」
そんな感じで30分弱電話をして切った。…和む。
欲を言っていけばキリがないけど、これだけでも随分満たされる。