第6章 休暇(後半)
「もうしません…」
「当たり前だ!二度と入れ替えねェ」
中身を入れ替えクロエの体になったローを抱いてしまった。
女の絶頂を身をもって受けたローは荒い息のまま暫く伏せていたが、次の瞬間首筋に包丁が当てられていた。
そして脅されたまま中身を元に戻し、そこからは怒りのままローに抱き潰された。
優しさなんてどこへやら、鬼もビックリな鬼畜ッぷりで散々喘がされ声も出なくなり終いには気絶もさせて貰えない絶妙な攻め加減で続くそれは朝日を見たところで記憶が途切れている。
目覚めて開口一番、出ない声で謝罪した。
「ほら飲め」
白湯を貰いちびちび飲む。
鏡に写る自分の体は、キスマークの痕が夥しい。
そしてあちこちの関節がズキズキするし、噛まれたところが痛い。
最後までしたとはいえさらっとしたセックスにたいしての報復が酷すぎではないだろうか。
(でも可愛かったなぁ…また機会ないかなぁ)
懲りていないのを分かったローは、空になった水のボトルをクロエに投げつけた。
『以上で定時報告になります』
「ありがとう」
午後イチでかかってきた軍用の電伝虫は、軍艦の留守を預かる部下からの連絡。
コテージで昨日ローが作ろうとして途中放置したままだった食材で昼食を取っていた最中だった。
シーと人差し指を唇につけて声を出さないようローに促す。
『クロエ中将、体調でも優れないのてすか?』
「え?」
『声が酷いですね。あ、酒やけの方ですか?』
「ははは…」
喘ぎすぎですとはいえない。
ただ酒やけと疑われる程私は飲兵衛なのか。
『あと、そろそろジルさんが帰省先から戻られるとの連絡がありました』
「あ、そう…休暇ももうそろ終わりだからね。また何かあったら連絡ちょうだい」
『了解しました』
ジルが帰ってくるのか。
あれは私の変装を高確率で見破れるから気を付けねばならない。
「ジルってあの側近の男か」
「うん。超優秀な男だから私の変装くらいならすぐ見破るんだよね。だから残りの休暇は連れ立って街に行かない方がいいね」
コテージに引き込もって飲んでるかなーと伸びをする。
「またベポ達呼ぼう」
「騒ぎたいだけだろ」
「休暇も終わりだからね、遊んでおかなきゃ」
とりあえず、今日の残り半日は体力回復に費やすことになりそうだ。