• テキストサイズ

【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第5章 最速・最年少記録を持つ女



常夏の島は今日も相変わらず暑い。
そして殊更暑く感じるのは隣を歩く白い巨体のせいもあるだろう。

「見てるだけで暑い」
「さっきからしつこいなぁ」

俺だって暑い。
皆に言われまくっただろう白熊のベポはだらりと舌を出し、クロエの横を歩きながら呟く。
いつもは軽い足取りも、のっしのっしと四足歩行の熊並みに重い音が聞こえそうだ。

「こんな中でも出掛けようって誘ってきたのはクロエだろ。文句言うなよ」

これまたくそ暑そうな帽子を目深に被るペンギンはツナギではなくタンクトップの私服。
筋肉が眩しいね~と弄れば変態かとナイフが飛んできた。

「あそこの会場の限定バーガー食べたいんだよ。今日迄なんだって」
「凄い屋台の数だね!あれ全部バーガーなの?」
「そう!食べまくろうっベポ!ペンギン!」

暑さはどこへやら会場が見えてきたら早足になる。
からんころんと下駄の音を響かせるのはクロエ。
今日のファッションはワノ国風の着流し。
何故か男性物でメイクも男性的なため、少年から青年の間、中性的な仕上がりになっていた。

「クロエ胸どうした?」

男性の着流しの装いに胸があるのは可笑しいが、女性のはずのクロエの胸がないのも可笑しい。

「さらしだよ。ほら」
「わっ!女の子がそんなことしちゃだめっ」

着流しの前をはだけさせるクロエに慌てるベポ。
しばらく怒られていたクロエだが、食指を刺激する匂いにつられて屋台へと意識は向いていた。







「旨すぎるっ」
「キャプテンもこればよかったのにね~」
「パンだから来ても食べないだろ、キャプテンは」

いくつかの屋台を梯子して買い漁ったものを広場に設置されたテーブルで包み紙を開き、現れた肉汁たっぷりのバーガーに齧り付いた時だった。
背後のそう離れていない席に座った団体は海兵。
こちらは特徴であるツナギを脱いでいるし、クロエは絶賛変装中。目立たなければバレることはないと思うが気を張ってしまうベポとペンギン。

『お前は見れたか?』
『いや、出勤したときにはもういなかった』

話し声がギリギリ聞こえる距離。
休憩中の海兵達はここの支部の兵で、クロエの部隊の兵ではない。
すぐにバレることはないかと少し安心し、クロエは再びバーガーに齧りつく。
/ 262ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp