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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第4章 生い立ち



長身の男ークザンーが助けたのは、後の海軍中将の一人であるクロエだった。

二度と彼女の命が脅かされぬよう一家に制裁を与えたクザンは、彼女の後見人となる。
口も聞けなくなっていたクロエが回復するのには時間を要したが、10歳近くになるとクザンが長期任務でいなくとも一人で生活できるようになっていた。

「クロエちゃん俺ね、遠くに移動になったから引っ越そうかとおもって」
「そうですか…引っ越しの準備します?」
「そうしてもらえる?」

いいですよ、と答えるクロエは読んでいた本を置く。
人と距離をおくクロエは誰に対しても敬語で、クザンにもだいぶ心許してきてはいるが未だ傷は癒えていない。
おおよそ10歳の子どもがするものじゃない、達観したような冷めた瞳は両親からの仕打ちだけが原因じゃないはず。おそらく関係しているだろう前世のことを聞いてみたくとも、勇気のでないクザンだった。

「あとね、長期任務終わったら多分本部勤務になると思うんだよね。そしたら宿舎そこにあってさ…」
「外で暮らす必要がなくなるんですね」
「そうなんだよねぇ」

そこで、と机に取り出した紙を見やすいように広げたクザン。
見ると島の情報がかかれていた。

「グランドラインからは外れちゃうんだけど、比較的安全で長期任務先へも行きやすい所選んでみたよ」

本部勤務になったらどこも遠いんだけどね~とガシガシ頭をかきながら告げるクザンはどこか好きなとこ選んでと言う。

「私も特に希望はありません。なので、一番の上に置いてあったこの島にしましょう」

ペラリと一番上にあった紙を掴みクザンに渡す。

「たまに顔だすとは言え、ほぼ独り暮らしになるんだからもうちょっと検討とかしないでいいの?」
「大丈夫です。人間が住んでいるところであれば生きていけます」
「そんな極論言わなくても…」

紙を受け取りながらここでいいんだね、と再確認をしたクザンは家用意しておくと告げて立ち上がる。
アイマスクを手に取ると、仕事行ってくる~と出勤していった。

家主のいなくなった家を見て、短く溜め息をひとつ。

(荷造り、頑張ろう)

新しく住む、スワロー島にむけて。







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