第17章 番外編 俺たちの幼馴染みの話
俺達の幼馴染みは変だ。
どこが変かと言われれば距離感、と答えれば良いのか。
渦中の二人はキッチンで肩を並べて調理中。
実際に調理をしているのはローだがクロエは楽しそうに調理をするローに付いて、助手のごとく作業を手伝っている。
いつものごとく鍛練の後に晩御飯を皆で食べようと誘われ待っている俺とペンギンとベポは、こたつに身を埋めて喋りながらその二つの背を見ていた。
「ちょっと味見ちょうだいよ」
「ん」
ほら、これだよ。
小皿で汁の味加減を見ていたローに味見をねだるクロエ。
先ほど自分で味見に使っていた小皿をそのままクロエの口元にもっていき飲ませている。
間接キスも気にしないその距離。
ねぇ、君たち恋人?
◆
別の日。
夜に買い出しを終えたローにくっついて彼らの家にお邪魔したとき。
浴室の方から物音が聞こえ、クロエがシャワーを使っているのがわかる。
急な来客の俺達だから、ローが一言伝えてくると言って浴室へと入っていった。
「おい、シャチ達来てるからな」
「はーい」
「服着て出てこいよ」
ねぇ、ちょっとまって。
まず鍵とか掛けないの?
そして服着て出てこいってどういうこと?
「あ、着替えないから持ってきておいて!ぜんぶ!」
「またか」
浴室から出てきたローは俺らにリビングに行ってろと言うとクロエの部屋へと入っていく。
出てきたローは俺らの前を横切って浴室へと着替えを置きに行った。
でもね、見えちゃったわけ。
着替えの間に挟まれた、レースのやつ。
男が決して身に付けることのない(趣味とかはおいといて…)男の夢がつまったその下着の肩紐が!
普通男に下着も頼むか?
というかローは普通に下着持っていける仲なの?
上があるってことは下もあるよね?
え、クロエってば年頃の男にそんなもの見せてんの?
「なぁロー…クロエはいつも裸で出てくんのか?」
ペンギンが聞くと怪訝そうな顔をしたロー。
いや、こっちもそんな顔したい。
「は?んなわけねぇだろ……まぁ、タオル巻いただけとかならあるけど」
「え、羨ましすぎ」
おっと本音が漏れた。
シャワーから出てきたクロエはいつも通りだった。
〉つづく