第16章 番外編 キスしよう
11.スパイダーマンキス
ある昼下がり。
晴天に恵まれハートの海賊団もここぞとばかりに洗濯に勤しむ。
長らく潜っていたためじめっとした艦内の空気を吹き飛ばすべく、出すものは出して開け放てるものは解放されていた。
「いーお天気…」
洗濯も掃除も一段落したクロエは、ローとベポと共に洗濯物の揺れる甲板で読書(一匹は昼寝)をしていたのだ。
寝転び鼻提灯を膨らますベポに、ローとクロエは並んで寄り掛かっていたが次第にローの頭が揺れていることに気付いた。
そっと頭に手を添え、揺れ動くのと同じタイミングでローの体を自分に引き寄せる。
何回かの後クロエの膝に落ち着いたローから帽子と本を抜き取り傍に置いた。
(お日様ぽかぽかいーきもち!)
どこかで読んだような絵本のフレーズが頭に浮かぶ。
背後からはやや大きいがスピスピと寝息。
膝には深く眠る静かな呼吸。
段々とクロエも瞼が重くなってきた。
(おやすみ、)
屈んでローの少しひんやりとする唇にキスを落とすと、ベポに寄りかかりローの頭を撫でながら目を閉じた。
洗濯物の影…
(うぁ~っなんて微笑ましいっ)
(キャプテンの寝顔あどけねぇっ!)
(クロエ寝てて黙ってたら超かわい~)
(こんな光景拝めるの今だけだっ)
(誰か!急いで映像電伝虫持ってこい!)
(お前が行けよ)
(ばかいえ!この貴重なシーン目が離せねぇよ)
(お前らほんとキャプテン好きだよな…)
(ペンギンもだろ)
(まぁな…)
〉相手が寝ているときや膝枕の状態など、顔が逆さまの状態で行うキス
end.