第16章 番外編 キスしよう
1.ライトキス
「久しぶり~」
「おー元気だったか?」
久々に再会したクロエは、近頃海軍の中でも頭角を表し昇進したとか。
新聞でも度々活躍の記事を見ることが多くなった。
「ベポ~ガルチュー!」
「久々~ガルチュー」
まぁまぁ有名人になってきた幼馴染みは、ベポに抱きつき挨拶を交わしている。
少女から大人の女性に変わりつつあるクロエは、綺麗になったと幼馴染みの欲目からみても素直にそう思うと最近シャチとペンギンは話す。
「あれ、ローは?」
「寄るとこあるって。そのうちくるんじゃね?」
「そっか。ペンギンもガルチュー!」
「んー」
スリスリと触れるクロエの頬と唇に、ペンギンはくすぐったそうに頬を掻いた。
つぎのシャチに向かって手を伸ばすクロエに、ペンギンはキャプテンに見つからないようにな、と忠告しようとしたが遅かった。
「シャチ~ガルチュー」
「がるぢゅ…ぅわわっ」
引き剥がされたシャチは、現れたローによって後方へと押しやられる。
「あ、ロー!」
「お前なぁ、誰構わずやるんじゃねぇって言っただろ」
「誰構わずって、幼馴染みじゃん」
「だめだ」
ぐにっとクロエの輪郭を掴みあげるローにそのままむくれ顔のクロエ。
「それにミンクのは頬擦りだけだ」
「あれ、そうだっけ」
「そうだ」
「じゃぁ尚更誰だっていいじゃん」
「男は全員だめだ」
「…じゃぁローもだめ」
「喧嘩売ってんじゃねェ」
「むっ」
尖る唇に触れる程度のキスを落とす。
そのまま唇は頬へとずれていき、その度軽いキスをして行く。
最後は髪をよけて耳に寄せてわざとリップ音を鳴らした。
「…っ、もーわかったから!」
「精々気を付けろよ」
耳を押さえてローから距離を取るクロエ。
ごちそーさまーと遠い目をする幼馴染み達も、二人のいちゃつき具合には慣れたものだった。
〉唇が軽く触れる程度のキス