第15章 番外編 いつだって…
ローの膝に乗るクロエは、いつもとは違う角度から見るローに釘付けになる。
鋭く見下ろされていた視線は甘く上を向き、熱をねだるような瞳の奥に獰猛な獣がチラチラと顔をのぞかせている。
今は大人しくクロエの要望に付き合ってくれているが、いつ豹変して喰われても可笑しくはなかった。
危ない獣をギリギリのところで飼い慣らす快感は、上からローを見下ろすクロエの下腹部を濡らす。
満たされつつある支配欲に酔っているのだ。
「…まだか?」
顎の舌からねっとりと首筋に舌を這わし、そこに甘く噛みつきながらローが尋ねる。
「んっ……ゆっくり、ね…」
背を走る痺れにふるっと身体を震わした。
甲板から聞こえる陽気な声。
いつ誰が部屋の前の通路を通るか分からない、日差しの明るい皆が活動している時間。
そんな時間にローの部屋のソファで絡み合ってから大分時間が経った。
変な時間に変なタイミングでスイッチの入ったローに迫られ、回避できずに出した条件がゆっくり、静かに、だった。
ローの唇が首筋から下に移動する。
左右の鎖骨に噛みつき、中心のへこみを舌でなぞる。
「すこしの力で折れそうだ…」
まるで絞めるかのように両手をその首に回し、掌で包み込む。
「そんなにか細くないよ」
さらけ出された目の前の胸にローがかぶりつく。
はぁ、と熱く出たクロエの吐息に気を良くしたローはその柔らかい肉を口一杯に頬張り甘噛みしていく。
ぐにぐにと舌先で固くなった先を弄りイタズラに強く吸えば、クロエの体が震えた。
「このまま突っ込めそうだ」
「っ…優しく、してっ…」
あくまで脱がせずに着衣のまま下着のクロッチをずらす。
性急な快楽を求める動きではなく、ナカを探るようなゆっくりとした指の挿入に、余計息が苦しくなるのはなぜか。
指先に神経を集中させて普段見過ごしている性感帯はないか探る。
いつもは見下ろす彼女の顔を見上げる。声を抑えられなくなったのか片手の甲で口元を覆い、濡れた瞳で見つめてくるクロエに、ごくりと生唾を飲み込んだ。
「たまには良いな、この時間にヤるのも」
「ふっ…ヘンタイ…」
「仲間に聞かれまいと耐えるその顔、エロくて好きだ」
柔らかな日差しが降り注ぐ室内で行われる、秘め事。
end.