• テキストサイズ

【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第14章 番外編 ハートの1日


クロエの朝は早い。
海兵時代の名残であり、朝の静かな時間に鍛練をするのを日課としていたために、それはこの船に乗ってからも続いていた。

イッカクとの二人部屋から程近い洗面所で身支度を整え、ホットパンツにTシャツ姿でトレーニング室へと向かう。様々な器具が揃った部屋を見ながら「潜水中は運動量が落ちる。動かず体が鈍って戦闘に支障が出ちゃ、命に関わるからな」とローが言った。皆時間を見つけてここへと来るため常に誰かいるが、早朝ならばクロエ一人。贅沢にもこの空間を独占しながらトレーニングを始めた。


小一時間でトレーニングを終えてシャワーを浴び、揃えてもらった化粧品を広げながらスキンケアを済ませていく。この数を揃えてくれたローには感謝しかない。一から揃えるには数も多く値もはる。少し欲張りすぎたかと品物を見つめていればさっさと会計していってしまうロー。大した額じゃねぇと支払いを済ますのを後ろで眺めながら潤沢なその資金はどこから来るのだろうと考え、途中で止めた。


ツナギに着替え、キッチンへと向かえば大体調理を担うクルーが起きてきていて、美味しそうな匂いが漂い始める。コーヒーを淹れながら朝食の準備を手伝うこともあれば(料理の才はないため、幼児にもできそうな程度だが…)、手伝うことがなければ新聞片手にリビングでコーヒーブレイクをするのがいつもの流れ。ちゃんと手伝えれば良かったのだが、どうにも調理は苦手だ。ちっとも上達しない。だから手伝ってくれ、と言われるときは決まっておにぎりを作る日。これなら長年握ってきたために得意だから、それを知っているクルーも手伝わせてくれるのだ。

大体ここまでがクロエの通常の朝。これがローの部屋で目が覚めたときは結構慌ただしい。起きる時間は変わらないが、クロエの行動に敏感に反応するローにベッドから出るのを邪魔されてトレーニングルームへと行くのが大分遅くなる。
一緒に来るときもあれば、散々邪魔したことで満足したローが再び布団に潜ってしまう事もある。兎に角いちいちちょっかいを出されるためになるべくなら自室で寝起きしたいのだがそうもいかないのが現状。二人の時間が取れなくなるとイライラが貯まったローにクルーが八つ当たりされるのだ。長年離れて暮らしていたから平気だと思ったのだが、近くに居るために抑えが効かないのだろう。


/ 262ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp