第12章 青紫の眼と新たな仲間
「と、いうことで新しくクルーとなったクロエだ」
「宜しくお願い致します」
ローの横でペコリと頭を下げる。
改めてではあるが正式に仲間としてローに許可を貰ったのだ。
挨拶がしたいと伝えて皆が集まる朝食の時に言った。
「「「歓迎するよークロエ!!」」」
「やったー女の子ー!」
賑やかな男達に肩を叩かれ、唯一の紅一点には熱烈なハグで歓迎された。
揉みくちゃにされながらも空いている席に腰かければ、シャチがクロエの分のトレーを持ってきて隣に座った。
「おいおい、まだ筋肉ないんだ。あんまりやるとクロエ潰れるぜ」
ベポを筆頭にのし掛かる勢いのクルーに注意を促せば、わらわらと離れていく。
そのまま隣に座ったベポはまだ嬉いなーとニコニコしている。
「「「いただきます」」」
今日も自然と揃う食事。
この船の空気感の暖かさからにやけていれば、目の前のローが眉間にシワを寄せた。
「気持ち悪ぃぞ」
「失礼だな、キャプテン。嬉しいんだから笑ったっていいでしょ、キャプテン」
「おい…」
「なんですか、キャプテン」
「わざとか」
「そうですよキャプテン。言い慣れないとね」
「今はやめろ」
「アイアイキャプテン!」
からかうように返事を続ければ周りから笑いが漏れる。
だが、慣れようとしているのは本当だ。
ローは名前でいいだろうと言っていたが、自分のなかでのケジメだ。
ローがいくら恋人だからって、皆といる時は自分もクルーのひとり。それも新入り。
海賊船に固いことを、と言われそうだがみんながキャプテンと呼ぶならば自分も。
郷に入っては郷に従えだ。
「なんか違和感しかねぇな、クロエの呼び方」
「我慢してよ、ペンギン先輩」
これは完全にふざけただけ。
先輩後輩の習慣がないのは療養してた期間でわかった。
だから彼らを先輩だなんて常時呼びたくはない。
「キャプテンのこと、もう名前で呼ばないの?」
つぶらな瞳で鮭をわし掴んで食べるベポに、二人だけの時とかは呼ぶかもね、と言う。
「じゃぁクロエがキャプテンの事を名前で呼んでいるときは、恋人同士の時間なんだね!」
うぐっ、とご飯が喉を攻撃する。
吹き出さなかったことに安堵するが、中々に照れ臭い事実を言葉にして言うベポはニコニコ笑顔。
思わぬパンチに、ニヤつくクルーの顔が見れなかった。