第11章 露呈
ここ数週間、ローは自室に籠りっきりでクルーはやきもきしていた。
なぜなら録に食事にも訪れず、寝ているのかも定かではない。
夜中に夜食を持っていけば必ず起きているし、朝に声を掛ければいつだって起きていて返事を返していた。
「キャプテン…また見てるの?」
「……」
返事はないが、やつれたような隈の酷い顔でベポを見上げた。
手に持つ紙がカサカサと動く。
「また少し、焦げた?」
「…あぁ」
クロエのビブルカード。
ローが籠り出した理由はこれで、綺麗な真四角だった紙は、今は焦げて半分近くまでなくなっている。
つまり、クロエが死にそうな状況にあるのだ。
ここ数週間、ずっと。
「少し回復したり、また焦げたり…つまりは手当てされつつも死にそうなのには変わらねェ状況なんだろうな」
つぅ、と紙を撫でてローは溜め息を吐く。
その瞳が苦しそうで、ベポは見ていられなかった。
ローがそれに気付いてから航路はクロエに向かっている。
何時もなら互いのやることに口出ししない彼らは、多少ビブルカードに異変があろうとも自らの旅を中断することなどない。
だが今回ばかりはそうも言っていられなかった。
状態が悪化して死ぬわけでもなく、かといって負傷しているような状態から回復の一途を辿るわけでもない。
人為的な手が加わっているような知らせにじっとしていられなかった。
「お前ら、悪ぃが…今の旅を一時中断してもいいか」
ビブルカードを確認して暫く、ローはそうクルーに言った。
丁度その頃ハートの海賊団はローの七武海入りに向けた準備の佳境に入っていた。
その為にあくせくと骨を折っていたクルーに申し訳なかったのか、唯我独尊・自由奔放な男は視線を床に伏したままクルーに断りをいれてきたのだ。
幼馴染みはもちろんの事、ローが大事にする女性の危機とあれば反対するものはいない。
すぐさま航路が変更された。
しかしビブルカードの行く先を辿るも、目印のない目的地にローもクルーも頭を抱えていた。
海にいるのか陸にいるのか、何を目指せばいいのかわからない。
伝手を使って情報を集めてみるものの状況はまったくわからなかった。
「結構クロエって世間的にも有名人だから何かあればニュースになると思ってたんだけど…」
「思い違いであってほしいが…世界政府に拘束された可能性がある」
「世界政府!?」
