第10章 変わる時代
生きている間にここまで時代が大きく動くのに立ち会うとは思っても見なかった。
ポートガス・D・エースの公開処刑に始まり、インペルダウンへの侵入と脱獄事件、マリンフォードの頂上決戦、そして"白ひげ"ことエドワード・ニューゲートとポートガス・D・エースの死。
このインペルダウンの警備に始まり麦わらの襲撃事件から脱走にいたるまで獄中を駆けずり回り、その足でマリンフォードまで行き白ひげ海賊団との交戦。
自分も兵もクタクタだった。
それでも血生臭い広場に降り立てば感化されて得物を振るう手の止まらない部下達を見て溜め息をついた。
その時、飛んでく人のような物体が視界をよぎる。目で追えば荒くうねる海上に見知った黄色の船が見えた。
(ロー…)
飛んでた物体が一部分裂し、人のような形のものが落下してポーラタング号に消えていった。
大将が揃いも揃ってそれを追っていることからロー達に投げ落とされたものは麦わらだろうか。
兄を失い心も体も傷ついた麦わらを彼等が救おうと言うのか。
こんなところに来るなんて、潜水艦だから普通の船よりは逃げやすいだろうが、無茶もいいところだ。
おじさん(クザン)の攻撃を避けられたのか、不満そうに海から離れる姿を見てほっとした。
それからは若い海兵の心からの叫びと赤髪の出現にともない幕引きとなった戦。
惨劇と言うにふさわしいマリンフォード。
引き上げるものと動けないものと、そして動かぬ亡きモノたち。
そっと見聞色の覇気を引っ込めた。