第1章 壱.一目見たその時から
どうやらお館様に呼ばれていたようで、胡蝶妹と冨岡が二人で任務に行くことになり、煉獄とはいつでも応援に駆けつけれるようにと命があったようだ。
「わたし煉獄さんに稽古つけてもらってきます、すぐそこで」
「うむ!行こう!」
「えっ見たい見たい!わたしちゃんが戦ってるとこ見たことないの!」
「じゃあ離れたところから見よう、甘露寺」
「応援いつでも行けるようにって言われてんだから、派手に怪我しないようになぁ」
冨岡と胡蝶を見送る。
産屋敷すぐ側の稽古場に煉獄とが移動し、それを遠目で見ようと見える位置に皆で移動する。
稽古場の中ではなく、外で手合わせしようとする二人。
最近あそこの稽古場をぶっ壊して二人仲良く蝶屋敷行きになり、胡蝶姉妹に説教されている。
ここ最近、は意外とやんちゃだということも分かった。
というより煉獄が来てからイキイキしている。
きっと稽古が楽しいんだろうが。
「行くぞ」
「はい」
「炎ノ呼吸 壱ノ型 不知火」
「星ノ呼吸 壱ノ型 流星」
大きな轟音が響く。
炎で埋め尽くすかのような呼吸と、一点だけを確実に狙うような呼吸。
正反対のように見える二人の呼吸だが、型は炎の呼吸に似ていると稽古を見て改めて思う。
「弐ノ型 天ノ川・改式」
無数の斬撃がまるでひとつの大きな流れとなるような鋭い範囲攻撃の弐ノ型。
それを伍ノ型 炎虎で防ぎ切る煉獄もやはり大したものだ。
「壱ノ型 不知火」
いや、防いだその瞬間から一気に合間を詰めに行った。
それを読んだかのようにも次の型の構えなのか、木刀で地面を抉るほど強く一直線に刺しこんだ。
「捌ノ型 …」
「むぅ!それはいかん!」
「…参ノ型 箒星」
途中で型を変えたようで、煉獄の壱ノ型を受け止めるために木刀を地面から引き抜き下から上へ強烈な凪払いの型で、間一髪煉獄の木刀を受け止めれたようだ。
しかし、途中で型を止めようと全速力のスピードを出した煉獄と、それを止めるために全力で奮った木刀は受け止めきれず折れてしまった。
ついでにその速さと力が木刀で抑えきれなかったせいで、に突進する形となって二人で吹き飛んでしまった。