第1章 壱.一目見たその時から
ドン、ガーッ
そんな物音と土埃を舞わせ二人は竹の囲いに吹き飛ばされ、辺りはシーンとなる。
「キャーーー!!!大変大変!どうしましょう!?」
「おいおい怪我すんなっつったのにド派手に行きやがったぞ」
「おい不死川、貴様ちょっと様子を見てこい」
「あァ」
二人が突っ込んだ先を覗きに行くと、煉獄がを庇ったのか、抱きしめている状態で座り込んでいた。
しかしどちらもきちんと受け身をとったのか幸い怪我はなさそうだ。
「おいてめェら、加減っつーもんを知らねェのか」
「わたしがネジ外れた。
危なかった…煉獄さんが止めてくれてなきゃ大変なことに…」
「うむ、正直ヒヤッとしたぞ!間に合ってよかった!」
「一体どんな型使おうとしたんだよ怖ェ奴だなァ…」
「いや型自体はなんともないんだけど、ここで使うのはまずいというか」
パンパンと手や服をはたきながら立ち上がり、みんなの所へ戻る。
音を聞きつけ隠が来てくれたので後の処理は任せることにした。
星ノ呼吸とやらは、全部で拾弐まで型があるらしい。
「本当はもっとありそうだったけど、基礎の壱から肆までしか知ることが出来なかったから…後は自分でつけただけです」
「ちゃんってとっても凄くて強いのね!
戦ってる時は雰囲気全然違うし!かっこよかったわぁ!」
「の型は綺麗だな!
壱の型とか本当に流れ星みてぇだったわ!」
褒められて小っ恥ずかしい表情を浮かべていた。
そんな表情もすんのかァ…。
顔をじっと見つめているとの顔がこちらに向く。
急にこっち向くもんだからドキッとしちまったじゃねぇか。
「みんなに揃って褒められるのは、さすがに恥ずかしいです」
へへっと笑ったその口元には八重歯がちょこんと見えた。
「……八重歯があんだな」
「あ……」
一気に顔から表情がなくなり、口元を袖で隠し下を向く。
伊黒までもが皆の目から隠すようにの前に移動し、大丈夫だと声をかける。
なんか、やべぇことしたかな……。
「、」
「わたし、この八重歯のせいで、なんていうか…虐められてきたというか」
煉獄が声をかけようと名前を呼んだ時、はポツリとそう呟いた。