第5章 伍.来世に繋ぐ物 ※
「鬼殺隊は、今日で解散する。」
「御意」
「長きに渡り身命を賭して、世のため人のために戦って頂き、尽くして頂いたこと、産屋敷一族一同心より感謝申し上げます」
その言葉に、皆一同揃って返事をする。
そしてお館様は続けて感謝の言葉と共に頭を下げられたのだ。
それに対し大の大人たちがあわあわと慌てふためく。
「そんな、頭をあげてくださいお館様」
「御父上含め産屋敷家御先祖の皆様も誇りに思っていることでしょう」
「……ありがとうございます」
ポロポロと大粒の涙を流すその姿は、子どもそのものだった。
その姿を見て皆でふっと笑い、顔を見合わせた。
「鬼殺隊を解散するといっても、今後の事は心配なさらなくて結構です。
生活に屋敷をそのまま使ってくれても構いませんし、故郷に戻られる方は戻られても構いません。
お給料も今まで不備なく暮らしていたようにお渡ししたいと思っています」
「そんな、そこまで……」
「今後の生活の支えになりたいのです。させてください」
「お館様もう頭を下げられないでください…!」
最後には和やかなとお館様の会話で皆がふふっと笑い、お館様の申し出を有難く皆が受け入れて最後の柱合会議が終わった。
皆、様々な想いを抱えているだろう。
一度蝶屋敷へと向かい、改めて皆と別れの挨拶をしていた。
蝶屋敷はそのままにし、胡蝶姉妹は医者として過ごしていくようで何かあったら来てくださいと言っていた。栗花落もここで暮らしていくらしい。
竈門は明日退院するようで四人揃って故郷へ帰るようだ。
宇髄は今の屋敷のまま嫁たちと暮らし、煉獄は父の元へ、悲鳴嶼さんは身寄りのない子どもたちを迎えるそうで、時透はそこで一緒に暮らすと。
伊黒と甘露寺は一緒に伊黒の屋敷で暮らすと言っていた。
冨岡もお館様のお言葉に甘えて今の屋敷で暮らすそうだ。
「じゃあ玄弥、一緒に帰ろう」
「うん、兄ちゃん」
「お前たち三人はの屋敷だろ?」
「そうなの。だから皆いっぱい遊びに来てね」
隠たちと一緒に植えた花や植物があるからと自分の屋敷へ戻りたいと言っていたの意見を尊重し、の屋敷で過ごすことにした。
は玄弥に気を遣わせると気にしていたが、最近二人が仲良くなっていたようで安心した。