第4章 肆.命ある限り ※
「夜明けだァァァ!!このまま踏ん張れェェ!!!」
「お願い、もう死んで…無惨…!」
炭治郎くんと一緒に、実弥さんと小芭内と四人で壁に固定しながら切実に祈った。
心の底から出た言葉だった。
涙が溢れて視界がぼやける。
朝日がのぼってくるのが見えた無惨は炭治郎くんを除いてわたし達を吹き飛ばす。
そして、みるみるうちに少しでも生き延びるべく大きな肉の塊を作っていく。
まるで赤ちゃんのような姿だった。
逃げ回る無惨に向かい皆が斬りかかっていた。
わたしも今あるありったけの力を振り絞って……
炎の呼吸 玖ノ型 煉獄…!!
「!!!人間に戻る薬を打て!!!!!早く!!!」
「え、あ、……あ」
「まさかお前…!早くこっちに来い!一緒に消えてしまう!!」
愈史郎に大きな声で言われるが、しまっていたはずの薬がない。
愈史郎が予備でもっているのかこちらに来るように言われるが、無惨を引き止めないと日陰に逃げられてしまう……!
自分が消えることより、無惨を止める方が先だ。
一刻を争う……!
愈史郎に謝り無惨の元へ行こうとすると、冨岡さんに投げ飛ばされた。
突き飛ばされたようなくらいの距離だけど。
「打つだけ打つ!そしたら行け!もう既に間に合うか分からない!」
やり方は雑にしても冨岡さんなりの配慮だったんだろう。
それを無駄にしない為にも愈史郎の元へ向かい人間に戻る薬を打ってもらう。
そしてすぐさま土の中に潜ろうとする無惨にまた炎の呼吸をつかい斬り掛かった。
……もう赫刀でもない、痣も出てないと思う。
斬れてはいても、浅すぎる。
もう力が出ない……。
そして薄々気付いていたが、無惨が弱まってきているせいか、鬼としての力も弱まってきている気がした。
ただ自分が疲れているだけなのかもしれないけど……。
土に潜ろうとしていた無惨が何かのせいでそれ以上進まなくなった。
その無惨と同時に、ゴフッと自分の口から吐血する。なんのせいかはわからない。しかしもう立てる気力もなかった。
……なんの役にも立てなかった。最後まで。
鬼の力を与えられながら、誇りを捨ててないと豪語しながら、そのくせになんの役も立てずに……。
「はやく、灼けて……」
そしてやっとその時が来た。
無惨は日に灼けて消滅し、歓喜で地が震えたのだった。