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八重歯と稀血

第4章 肆.命ある限り ※




ーー……

「兄貴、あのとき、ごめん……」

「俺より先に死ななければ、何だっていい…」

「さんが、危ない…」


黒死牟の亡骸の前で座る。
声をかけると、フーッ、フーッ、と荒い息で呼吸を整えている。

目は瞳孔が猫のように細長く開き、口の間から八重歯が鋭く突き出ているのが見える。


「まて、鬼舞辻無惨の所へ行く前に、お前どうしたァ」

「体力を回復できなくて……先に行ってて、後で行きます」


あ、こいつ血が足りてねぇんだ……。
そう理解し、服の胸の内側にあるはずの血の入っている小瓶を探す。

三本分全て空だ。


「あ、」

「入れておくから…足りるかァ?」

「……ありがとうございます。
もう少し体力を自力で回復してから飲まなきゃいけないので…」

「わかった、先に行く」

「、無理をするな。二人を頼む」


あの状態で、果たして俺の血を飲んでも平気なのか……。
稀血でも特殊だということは伝えている。

鬼舞辻無惨の元へ向かいながらも、がそのまま来ないことを願った。
そのまま眠ってくれたらいい。

鬼舞辻無惨の元へ行けば間違いなく狙われる。
太陽を克服していることを知らないにしても、知るにはそう時間はかからないだろう。


置いていくのは心苦しい。

もしかしたらもう二度と会えないかもしれない。
そう思わざるを得なかった。

なんせ上弦の壱であの強さだ。
鬼舞辻無惨に柱全員かかっても、どうなる事か。


ーー……


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