第4章 肆.命ある限り ※
目の前がチカチカする。
鬼のような目でこちらを心配そうに見つめる弟くん。
「さん、制御できてないんじゃ……」
「大丈夫、……」
戦いに参戦しようと後ろを振り向くと、実弥さんは気を失いながらまだ鬼に斬りかかろうとしていた。
頭部を、再生したのか……?
あれは、月の呼吸だった。
わたしの指南書に書いてあった、月の呼吸。
「継国巖勝……!!!」
わたしが指南書で読んだ名前を叫ぶと、ピタリと止まっていたが顔だけこちらへ向き、呆然とわたしの顔を見た。
「月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮」
鍛錬したのだ、月の呼吸を。
ただわたしには使いこなせなかった。
だが、わたしをここまで育てあげてくれた月の呼吸の産みの親に敬意を表して月の呼吸で逝かせたいと思った。
しかし、やはり未熟な呼吸。
「すみません、月の呼吸をわたしは使いこなせなかった。
でも、月の呼吸の派生として星の呼吸を使えるようになり、ここまで来れました。
鬼にならなければ…人に危害を加えてなければ…尊敬していました」
それを聞き、ボロっと体が崩れていく。
「わたしは一体何のために生まれてきたのだ……
教えてくれ、縁壱……」
その最期に、言葉も出なかった。
悲鳴嶼さんは実弥さんを抱え、むいと弟くんの隣へ運ぶ。
むいの意識があることを確認し安心していた。
わたしは鬼の元から離れられなかった。
ずっと探していた月の呼吸について。
それがこんな形で、あまりに酷すぎる……。
四人で戦って、やっと倒せるほどの鬼だった。
鬼にならなければ、後継していけたかもしれない月の呼吸を。
自ら絶ってしまった人生には残念に思う他なかった。
「オイ大丈夫か!!!玄弥ァ!!!生きてんのか!?」
「さんの、おかげ、で…なんとか…」
初めて実弥が私に気付く。
二人で昔の話をしているのか、誤解がとけたようでよかった。
「おい、おい、」
「鬼舞辻無惨を倒したら、平和に暮らせる…」
「その通りだ不死川。まだ戦いは終わっていない」