第4章 肆.命ある限り ※
「この速さについてこれるやつは見たことないぞ」
犬の姿になるなり、先程より格段に早い速度で目まぐるしくかけまわり頸に噛み付く。
こいつ、殺せないにしても消耗させるために頸を狙って…!
しかし、その頸を噛んでいるその頭はまるで無防備。
こいつはわたしの頸を狙っても殺せはしないが、わたしの刀でこいつは殺せる……
そう思い片手でガッシリと首根っこに腕を回し、自分の腕もろとも頸を狙う。
だがモコモコと体が大きくなっていき、噛まれているところが肩までひろがりミシミシと骨まで軋んでいく。
その重みで頸を切り損ねてしまった。
しかしこいつはいつまで経っても頸を離さない。
変化が終わった今の姿は熊のようだった。
体制を崩し、馬乗りになられ片手で腹を貫かれる。
体力を消耗させるためだけに体を傷つけている事が分かる。
どうしよう、このまま血鬼術を使っては予備の血液で足りない……!
腹を貫いた手が胸の辺りを狙ってくるのが分かった。
あ、ここは人間に戻る薬が、
「クソ野郎……」
どうにでもなれ、とりあえずこいつを殺そう。
ーー捌ノ型 星海・悪鬼滅殺
馬乗りになっている熊の形をした忌々しい鬼。
そいつの脇腹に日輪刀を突き刺し、思い切り力を込めて型を繰り出す。
捌ノ型は、指南書にあった型を参考に技を作り上げたが、相当労力のいるものだった。
突き刺したところから地割れのように無差別、四方八方へ切り込みがはいる。
血鬼術で白く輝く太刀筋は堕ちていく隕石のように赤黒い星になった。
心臓が激しく動き、体が熱くなる。
「グゥゥアアア……!!鬼でありながら、痣を出すか…!!」
「わたしは一度も鬼殺隊であり続けることを忘れなかった…!
鬼の力を使うのは悔しい…!けど、隊士の誇りを忘れたことは無い!」
こいつはわたしに鬼の血を分け与え続け、鬼として育て側に起き続けるつもりだった。
しかしそれが逆効果となり鬼の耐性がつき結果として鬼舞辻無惨の太陽克服の鬼の候補とし、的になった。
「死ねクソ野郎…!!」
「…お前を、連れて…」
「わたしの家族は鬼殺隊だ!!!」
裂け目が頸にはいる。
獣の姿がだんだん元の姿へと戻って行った。
自分で頸を落として逃げられる前に、わたしが、
「、」
はねた頸が落ちていく。