第3章 参.役に立たない誇り
「はじめまして三人の奥さん。と言います」
「ちゃん!話は聞いてるよ!
三人だけ嫁とらないって言ってたくせに四人目候補って」
「……へェ、そうなのか宇髄」
「あ、そういう意味じゃないっていうか。
保護者として引き取ろうとかそういう意味で?」
「わたし鬼ですけど、人間に戻ったらこの方と結婚するんです!
だから嫁として必要なこと後で教えてください」
「いい子……!」
「え、結婚すんの? いつそんな話になったわけ?」
「さっきです」
昔と変わらない他愛のない会話。
それを傍から見ていられるのが嬉しくてつい笑ってしまう。
宇髄がのことを好きとか恋愛感情ではなく、ただ特別可愛がっているというのは分かっている。
そして俺の反応を見て楽しむためにわざと引っ付いたりしてんのも分かっている。
それをまたこうして見られるのが幸せだと思った。
「じゃあ次挨拶行きますから、また遊びに来ますね」
「おォ!絶対だぞ!」
手を振りその場を後にして次である時透の元へ向かう。
はまたこうしてみんなに会えるのが嬉しくて仕方が無いようだ。
しかし同時に不安もあると胸の内を言っていた。
鬼であることを受け入れてくれるのだろうか、と。
そんなの禰豆子がいながら今更すぎる。
むしろ今では鬼の禰豆子、珠世、愈史郎という奴らが協力してくれたという事実がある以上、悔しいが竈門の言っていた善良な鬼がいるというのが間違いじゃなかったということになる。
そう返すと、笑って「そうですね」と言っていた。