第3章 参.役に立たない誇り
「実弥さんの稽古は?」
「俺また明日からやる」
「じゃあパパっと終わらせて屋敷に戻らなきゃですね」
「まァ気にすんな」
煉獄は引退してから親や弟のいる屋敷へ戻ったので、そこには明日顔を出すことにしたらしい。
まずは宇髄だ。
どう登場して驚かせるべきかと二人で話し合う。
「今稽古中なんですかね?」
「夕方くれぇだとどこも一旦終わりにするはずだ」
「よしじゃあ今は宇髄さんと奥さんたちか…
鎹鴉飛ばして鬼来たっていうのも洒落にならないしなぁ…」
「それは下手したら全隊士がくるからやめろ」
「とりあえず実弥さん先に行って話して気を逸らしてください!
とっても派手ないいことを思いつきました!」
キラキラと目を輝かせ、俺の背中をバシッと叩く。
ちょっと痛てぇ。
近くなったところで俺が先に行き、は木の上に登りそこから宇髄の元へ向かっていった。
しかし元忍なんだからさすがに無理があるだろ……。
「ん?不死川?なんでここに?え、一人か?」
「おー」
「えっ気持ち悪……なんの用だよ…」
「おいどういう意味で言ってんだァそれは」
木々がある場所からは少し離れたところに嫁たちといたために、はそれ以上近づけないようだった。
しかし、宇髄も油断しているとはいえ気付かないほど気配がない。
と、思ったのもつかの間、ピューンと何かが飛んできて宇髄と嫁たちが反射で避ける。
飛んできたものを見て俺も驚いた。
「ギャァァァアアアアア!!!!!」
「ううううう腕!腕が!!えっ!?腕!!!」
「落ち着けまてなんだこれ落ち着け、えっ!?どうした?
何があった?……鬼の手か?まてどういうこ…」
その腕に気を取られている間にが俺の隣にくる。
隣に来てやっと気配を感じられた。
そのの姿を見たときに、固まる宇髄と三人の嫁。
「ド派手な登場できたんじゃない?」
「てめ、この、なんだ? おいこのやろう……心配したんだぞ。
どっからこの腕持ってきたんだよ怖ェやつだな…」
「わたしの腕ちぎって投げました」
「……とんでもねぇな…痛くねぇの?」
「痛いです」
「痛いのかよ」
「痛いならやるんじゃねェ」
既に再生している腕と消えていく腕。
鬼の力を利用した嫌がらせだなァ……。