第3章 参.役に立たない誇り
数歩歩下がって後ろ姿を見る。
揺れる髪は短くなっており、以前はなかった腕も元通りだ。
腕が戻ることは喜ばしいが普通じゃ有り得ねぇ。
素直に喜ぶことでもないだろうし、複雑だろう。
立ち止まり、振り向く姿。
「何してるんですか?」
愛しい。
会えなかった分、更に強く思った。
「改めておかえり、」
「ただいま実弥さん」
「愛してる」
「……わたしもです」
道端だが、立ち止まるを抱きしめ口付けをした。
長くなってしまったが、ようやく想いがきちんと通じあえた。
こんなことになる前に本当は言っておくべきだったが……。
「わたしの屋敷に行ったら先にお館様に会いに行きます。
そしたら珠世さんのとこにいきましょう」
「お館様は…体調が優れないから会えないかもしれねェな」
「そうなんですか?……そっか」
以前の柱合会議でも、あまね様がいらしたからな。
屋敷へ行く道中、がいない間の柱の動きを報告した。
煉獄はあれからやはり目が見えにくいのもあり、胡蝶に言われ柱を引退したのだ。
にとってはそれが一番大きいニュースかもしれない。
案の定驚いていたが、大きな怪我や命を落とす前に引退してくれた事に安心していた。
時透は記憶を取り戻し明るくなった。
甘露寺と伊黒は相変わらずだが。
冨岡は最近増してうざい。
「柱が2人も席をあけたんだ。本来ならお前が柱になるべきだったんだぞ」
「あらあら残念」
「思ってねェな」
「鬼の力を得て強くなってる時点で隊士の誇りもくそもないんですよ」
「それでも前から柱と同じ強さだった」
「はいはい早く人間になりたいですね」
正直どの程度強くなったのかも気にはなるが、上弦の鬼くらいは余裕でいくだろう。
柱2~3人いて勝てるかどうかだ、恐らく。
屋敷へ着くと隠たちが泣いて喜ぶ。
散ってしまったひまわり達の種を残したのでまた一緒に植えようと約束していた。
見れなくて心苦しそうだった。
それから産屋敷へと行くと、あまね様に戻ってきたことを報告していた。
お館様には間違いなく伝えると言っていただいて安心していた。
あとは、蝶屋敷と柱稽古中の皆のところだな……。
喜ぶぞォ。