第3章 参.役に立たない誇り
「わたし、珠世さんのおかげで心まで鬼にならなくてすんだんです。
引くかもしれないけど、禰豆子ちゃんのように食べなくてもいいとまではさすがにいきませんでした。
珠世さんと愈史郎みたいに、少しの血をもらって生きられます」
「待て、珠世とかいう奴も鬼だったのか?」
「知りませんでした?
ちなみに今はしのぶちゃんのところにいるはずです」
「……聞いてねェな」
「とにかく、全ては珠世さんのおかげです。
珠世さんにいろいろしてもらったからこうして普通でいられます」
そうして今やっと、太陽の下にいることに気づきあわてる。
俺が影になってたから大丈夫だったのか!?
目の前に現れたことに感動しすぎて……
柄にもなくあたふたしてしまい、その姿を見て笑いを堪えている時に出るの「んふっ」という声を久しぶりに聞いた。
「太陽なら克服してます。鬼舞辻無惨は禰豆子ちゃんに気を取られてわたしの情報まで知らないようですから」
「……すげぇな、頑張ったんだな」
「……皮肉なことに、鬼の力を得たせいで格段に強くなりました。
複雑ですが、これを利用したいので人間になるのは鬼舞辻無惨を倒してからと思ってます」
「どうであれ俺が支えるよ」
「ありがとうございます。
鬼舞辻無惨を倒して人間に戻ったら、結婚しましょうね」
「……あ? いや、するけど」
「んふっ」
「クソ……」
「まずは日輪刀と、羽織りをください」
それを聞き、屋敷の中へと入っていき大事に取っておいた刀を持ってくる。
羽織りは自分の屋敷にあることを伝えると、屋敷はもちろんだが皆のとこに行きたいと言うので一緒について行くことにした。
「手入れしてくれたんですね」
スラッと刀を抜き、黒と紅の綺麗な模様にまた目を奪われる。
手入れをするときにも惚れ惚れしたものだ。
それをがもち、太陽に当てられ輝いている日輪刀はやはり綺麗だった。
「あんまり綺麗で見とれたなァ」
「わたしと呼吸をそのまま表してますね」
「……まァ否定はしねぇけどよ」
「じゃあわたしの屋敷行きましょうか」
改めてここの屋敷の隠に謝罪をし、自分の屋敷へと行く後をついて行った。