第3章 参.役に立たない誇り
今からこいつを斬らなければいけないかもしれないんだ。
幼い頃から仲良くしてきた伊黒や煉獄には…辛いことだろう。
「……ぅ、」
「!」
「あ、…」
重たい目を必死に開け、こちらをぼんやりと見つめている。
皆、ゴクリと唾をのんだ。
「きぶつじ…むざん…」
「む!呪いがかかってれば死ぬんでしまうと言っていなかったか!?」
「だ、じょぶ…」
「……会話ができるのか?、俺たちの事が分かるのか?」
「あり、が…と、お、ば……な」
たどたどしく喋るだが、その様子を見て安心しきってしまい、へたりと腰が抜けるように座り込む。
胡蝶は持っていた何かをに渡すと、は分かっているかのようにそれを取り腕に指す。
血が中にあがっていくのが見えた。
すると猫がどこからか現れ、その血を持ってまたどこかへ消えていった。
定期的に血を送っていた流れを理解している。
これが、鬼舞辻無惨の血に対応してるということか?
「しばらくさんをここに匿うつもりです。
柱が交代交代でここに寝泊まりする予定になっています」
「うむわかった。まずお館様の所へ行かねば」
「……今日は俺がいる」
「伊黒さん…」
「何かあったら至急伝達をお願いします」
もしが完全に鬼となり自我をなくしてしまうと、伊黒一人…いや柱一人では太刀打ちできないだろう。
元々柱と同じ強さだし、鬼の力を蓄えていたせいで順応が早い。
鬼と人間の混血だったわけか……。
「、またすぐ来る」
「さね、み」
「あァ…待ってろ。伊黒気をつけろよ」
「分かっている。早く行け」
涙のあとがついている頬を撫でる。
どうか何も起こってくれるなよ…との顔を見つめて願った。
まずは竈門炭治郎の所へ行こう。
あいつも宇髄も蝶屋敷にいるはずだ。
「俺ァこのまま蝶屋敷に行く」
「私も戻りますから、煉獄さんと甘露寺さんは産屋敷へお願いします」
「分かったわ!」
「うむ!」
二手に分かれそれぞれの屋敷へ向かっていった。