第2章 弐.尊い命
「今日は非番の方が多いので誰と一緒に行くか迷いました」
「俺は甘露寺と煉獄と飯を食いに行く」
「私は屋敷に戻って宇髄さん含め怪我人の手当を」
「むいは刀がなんちゃらって言ってたんで…実弥さんよろしく〜」
「夕方からか?」
「はい」
「分かったよ」
飯はどうでもいいとして、他のやつらはしょうがねぇな。
一旦その場は解散し、夕方まで屋敷へ戻り鍛練をすることにした。
宇髄は昨日の夜の出来事で今日は手当でバタバタするだろうし…明日にでも蝶屋敷に顔を出そう。
屋敷へ戻ると冨岡が待っていた。
「何してんだァ?」
「鍛練するなら一緒にと思って」
「あ?いらねェよどっか行け」
「にも断られた…」
「だろうなァ。今任務終わってきたばっかだぞあいつ」
「水柱様の分もお茶持ってきました」
そう言っておはぎとお茶を持ってくる隠。
余計なことしやがって……。
とりあえず縁側へ腰をかけ、午前のおやつにすることにした。
「冨岡てめぇ今日非番なのか?」
「今日は俺だけ非番じゃない」
「それはそれで可哀想なやつだなァ」
なんで俺こいつとおはぎ食ってんだ。
食べてる間は無言になるし、自分の屋敷なのに居づれぇ。
早くどっか行かねぇかな。
そう思いながら無言のままおはぎを食べ、お茶を飲む。
「……さっきに会った」
「あそ」
「あいつは強いな。手の包帯に血が滲んでいた。
寝る間も押しんで鍛練してるのかもしれない」
「……もともと両手で剣握ってたからなァ」
「俺はの戦っているところを見たことがない」
こいつ、一生懸命話題でも考えてきたのか?
妙によく喋るじゃねぇか、気持ち悪ィ。
「星の呼吸な、綺麗だぞ」
「そうか」
「……そうかって言われたら話終わりだろ」
「……?」
「……うぜェ」
話にのってやってんだから会話を広げる努力しろ。
自分から話振ってきたくせに「そうか」って何だよ死ね。
「腹立つから稽古してやる」
「……気持ちはわかる」
「あ? 何の話だよ?」
「大事な人が傷付いてしまうと、自分の非力さが情けない」
何言ってんだこいつ。
俺が非力って言われてんのか腹立つぶち殺してやる。
「上等だァ…こいよ」