第2章 弐.尊い命
そうして竹刀で手合わせをしばらくしていた。
隠が昼飯を作って持ってきてくれたので、それを食べるために一度中断して中に入る。
よしこれ食ったら一眠りして任務に向かおう。
「水柱様の分はこちらです」
「…ありがとう」
「あ?いらねぇだろてめぇさっさと帰れよォ」
「せっかく作ってくれたから…」
「……余計なお世話でしたか?」
「……食ったらすぐ帰れ」
「いただきます」
「話を聞け」
「……」
「……殺してェ。
おいお前らも一緒にここで食え」
いくら隠たちを呼んで一緒に飯を食っていても、無言は無言だった。
しかしこいつと二人きりの無言よりはマシだと思い食事を済ませた。
食べ終えると、今度は俺の屋敷に来るといいとか馬鹿みてぇなこと言って帰っていったので、その言葉を忘れるためにも一度布団に入り夕方まで寝ることにした。
なんか余計疲れた。冨岡のせいで。
なんで俺が相手してやってんだほんとに。
ーー……
「不死川様、そろそろ準備を」
「…ん? あぁ、ありがとな」
トントンと優しく肩を叩かれ、隠の方を見てお礼を言う。
外を見ると既に夕日で染まっていた。
「もう少し早く起こしてくれてもよかっ……あ?」
「気持ちよさそうに寝てるものだから、つい」
「……男の屋敷に一人で上がり込むな。しかも寝室に」
「実弥さんの屋敷ならいいでしょ」
「そういう問題じゃねェ」
「はいはい」
隠のフリをして起こされたもんだから気付かなかったが、どうやらがここまで来てくれたようだ。
まァ寝すぎたもんな。冨岡のせいで。
にしても寝起きにがいるのはいい気分だなァ。
「着替えてすぐ出るから縁側にでも座って待ってろ」
そう言い残して先に部屋を出て、隊服へ着替える。
外へ出ると縁側にちょこんと座っているがいた。
近くに寄り、頭に手を乗せ「行くぞ」と声をかけると立ち上がり、隣を歩くに歩幅を合わせて目的の場所まで向かっていく。
「意外と合同任務で組んだの少ないですよね」
「そうだなァ」
ちょこちょこは行っているが、と一緒に行くのは煉獄が多い。
あいつらは暇があれば鍛練している二人だから息はバッチリだ。
正直煉獄が羨ましいと思うこともあった。