第2章 弐.尊い命
それからしばらくの月日が経ち、他の柱も俺もも日々任務と鍛錬に明け暮れていた。
そしてたった今、鎹鴉がやってきて宇髄の負傷を伝えられた。
どの程度かは知らんが、上弦の陸を倒したということも一緒に伝えられ、かなりの負傷を覚悟せざるを得なかった。
胡蝶カナエ、煉獄、が上弦の鬼に再起不能な程やられている。
あの二人は鬼殺隊として復帰できるだけ運が良かったんだろう。
しかし煉獄は俺に任務を全うできなければ柱は引退すると密かに伝えてきていた。
片目が見えなくなるのは致命的だ。視界が狭まる。
今宇髄の様子を見に行っても邪魔になるだろうから、明日行こう。
……はまた明日も任務に行くのだろうか。
そう考えながら床へ着くとすぐに眠ってしまったのだった。
ーー翌日。
宇髄の状況を知るために一度産屋敷へ向かうと伊黒が既に来ていた。
「宇髄は柱を引退するそうだ」
「あ?」
「左腕、左目をやられていた。
毒で死にかけのところを竈門妹が解毒して一命を取り留めたそうだ」
「解毒もできんのかすげェな。
で、今は? 蝶屋敷かァ?」
「らしいな。
煉獄、と続き宇髄まで戦力を失うのは致命的すぎる」
「……そうだなァ。って、竈門妹って言ったか?
いたのか?その場に。で?生き残ったのか?」
「ああ、驚くことにな。しかも協力して殺している」
「有り得ねェ……」
「はどうだか知らんが、腹立つことに煉獄も宇髄もあいつらのことを認めているようだな。俺は嫌いだが」
「俺も認めたわけじゃねェよ」
その後正式に宇髄が鬼殺隊に席を残したまま柱を引退すると報告があり、屋敷はそのままに嫁たちと暮らしていくそうだ。
「不死川さん、伊黒さん、おはようございます。
早いんですね?」
「小芭内、実弥さんおはようございます」
「ああ、胡蝶にか。どうしたんだ?」
「任務から終わって帰ってきたところです」
「朝までご苦労だな」
「今日も調査の任務で、実弥さんと一緒です」
「何も聞いてねェぞ」
今決まったことですからね。と悪びれもなく言う。
まァいいけどよ。