第2章 弐.尊い命
それからしばらく日数が経ち、一応機能回復訓練をしようかと言う話になったが、寝たきりだったとはいえ炎柱に甲の二人だ。
さすがに胡蝶のとこの継子でも相手にはならないだろう。
「わたしは片手だからなぁ」
「一回やってみますか? 不死川さんも冨岡さんも見学どうぞ」
「一度継子とやってみよう!ずいぶん体がなまってる!」
機能回復訓練では、も煉獄も体ほぐしと鬼ごっこは余裕なようだった。
しかしは薬湯の掛け合いで最初は苦戦していた。
左腕がないことに慣れつつあったが、どうも反射で動かしてしまうと言っていた。
しかしさすがと言ったところで、徐々にコツを掴み継子よりも早く湯呑みをとり、掛けるのではなく頬にペタリと湯呑みをくっつけていた。
「カナヲちゃん…さすがあの姉妹の継子だなぁ」
「あ、ありがとうございます…」
「不死川!冨岡!どちらか俺の相手をしてくれ!」
「では不死川さんと煉獄さんが鬼ごっこで、さんと冨岡さんが薬湯の掛け合いをしてはいかがでしょう?」
「うむ!よろしく頼む!」
まァ柱同士の稽古と思えば悪くはない。
一人でする鍛練より二人でやった方がずっと効果的だ。
最近は任務だけして鍛練をサボって毎日のように蝶屋敷に来ていたものだったから丁度いい機会だ。
「さすがに片手でやってくれますよね?冨岡さん」
「それで訓練になるのか?」
「……それは冨岡さんが片手で慣れていないから相手にならないと思っての発言ですか?」
「? そう言ってるが?」
「そのちょっと腹立つ言い方やめてください…。
冨岡さんが両手だと速さの差がつきすぎて訓練にならないから片手でやってほしいんです」
「わかった」
あの顔がまた腹立つんだよなァ……。
どんな気持ちの顔なんだよあれ。
少し遠目で見ていると、後ろから肩を叩かれ煉獄に「よろしく頼む!」と馬鹿でかい声で言われる。
「では、はじめ」
継子の合図で煉獄から逃げる。
触れるだけではなく、煉獄が俺を手でもどこでも掴めば勝ちと追加で決めた。
クソ、こいつ全然劣らねェじゃねぇか。
機能回復訓練なんて必要ねぇだろ。
そう思わされるほど俊敏で近強く追いかけ回された。
しかも冨岡との様子も見れねぇ!