第1章 壱.一目見たその時から
「オイてめェ今すぐ離れろ5つ数えるぞォ。
はいいーち…にー…」
「ギャァァァアアアア誰誰誰!?!?!?こわ!!!顔怖ッ!!!!」
「さーん……」
黄色いヤツの頭を掴み、数を数えるとビビり散らかして全く離れようとしないので、つい腹が立って手にギリギリと力が入る。
「イタァァァァァアアア!?!?!?離れます離れますからぁぁぁ!!!!」
「気安くこいつに触るな俺に殺されたくなかったらなァ…」
「実弥さん…大人気ない…」
「ふふ」
ガタガタと震える黄色いヤツをわざわざ立たせて元の場所へ戻るように伝えてやっていた。
「とんでもねェうるさいやつがいたもんだなァ」
「例の竈門炭治郎くんの同期で友達みたいです。
猪の頭してる人間もいましたよ」
は?気持ち悪。
なんだ猪の頭してる人間って。
変なやつしか周りにいねぇのな……。
「一般の方が40名以上犠牲になってるとか、隊士を送り込んでも帰ってこないとか、そんな場所に煉獄さんが行くらしいんですよ」
さっき胡蝶妹から聞いたようだ。
冨岡と胡蝶妹が一緒に任務に行ったのに、そこには煉獄一人で行くのが気に入らないと拗ねる。
まぁ確かに心配だろうが煉獄だから大丈夫だろ。
それを今からお館様に自分も着いていくと交渉しに行くと言ったので、一人より二人で言った方が効果的だと思い俺も着いていくことにした。
「じゃあしのぶちゃんに挨拶してきますから」
そう言ってその場を去っていく。
姿が見えなくなったところで胡蝶姉に話しかけられる。
「不死川さんはちゃんの事が大事でたまらないのね」
「は? てめぇら姉妹は一体どうなってんだァ?」
「凄く気にかけてるしちゃんの事になると目の色変えるじゃない」
「あのなァ…好きとかじゃねェ。なんだ、あれだ、仲間意識みてぇな。
なんかほっとけねェし変な虫つきやすそうだから一緒にいてやってるだけだ」
「それがもう好きでしょうがないってことなんじゃないのかしら?」
「あァ? ……え、そうなのか? いやちげェだろ」
「じゃあ宇髄さんのお嫁さんに行ってもいいの?」
「宇髄は三人も嫁いんだからダメに決まってんだろォ。
つーかそういう風に言われると変に考えるからやめろ」
また馬鹿げた会話になってしまった。