第1章 壱.一目見たその時から
床についてからもグルグルと頭を駆け巡る思想。
おかげですっかり日は昇っていた。
クソ!あいつのせいで睡眠時間とれなかったじゃねぇか!
目がギンギンに冴えてやがる鬱陶しいやつ!
あー早く会って文句いわねェと気がすまねぇなァこりゃ!
「あ、不死川様おは…よ、え?大丈夫ですか?顔色が」
「気にすんなァ…!朝飯だ朝飯」
「あ、はい準備は出来てます」
起きるのがいつもより早くなったせいか、ドタドタと準備のする音がする。
準備は出来てると言っただけあって整うのも早かった。
用意された朝ごはんをしっかり噛んで食べ、身支度を整えてから早々に産屋敷へと向かった。
クソ誰もいねェのかよふざけんなよォ。
「あら、早いですね?不死川さん」
「いんのかよォ!気配消して近付くのやめろ」
「びっくりしました?」
木の上には伊黒。
なんだいるんじゃねぇかよ。無駄にびっくりしちまった。
「柱でもないわたしまで呼ばれて一体何事でしょう?」
が顔を出すなり、不思議そうに胡蝶に尋ねている。
確かに甲ではあるが柱ではない。
大事な話に呼ばれることはあったが、基本柱合会議に参加することはなかった。
お館様は積極的に参加してくれて構わないと言っているが、まァこいつの性格上呼ばれない限りは来ないだろう。
「それには深い訳があるんですよ?
竈門炭治郎くんをこちらへ」
隠が現れ担いでいた少年をそのまま降ろす。
どうやら寝ている?気絶?しているようだ。
そして胡蝶から任務先であった出来事を話し始める。
時折、離れていた場所にいる冨岡を指さしながら。
「は、ちょっとまて、鬼殺隊員でありながら鬼を庇っていただとォ?
しかも冨岡の野郎も一緒に?ナメてんのかァ…?」
「それでよくのうのうと柱合会議など出られたものだな、冨岡」
「まあまあ、まずは話を聞かないと」
「話を聞くも何もないんじゃ?
寝てるまま殺した方が痛くなくてすむかも」
「さん、不死川さん、伊黒さん、少し落ち着いて」
まずは起こしましょう、という声と共に隠がその男をゆさゆさと揺さぶる。
馬鹿みてェだ。その鬼から殺してやる。
そう思いその場を去り鬼を探しに行った。