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八重歯と稀血

第1章 壱.一目見たその時から





「本当にこんなこと言ったら引かれるかもしれないけど、鬼に育てられたんですよ……。
鬼の食料のために人攫いをする人と、食わせるために子を産む人とか…わたしはそこで産まれたのか、人攫いで連れてこられたのかも分かりません。
けど、物心ついた時にはそこにいて、この八重歯で鬼に気に入られ、大きくなったら孕ませてやろうと言われてきたんです。
この八重歯を指や舌で愛でられるんです……気持ち悪いでしょ……。
鬼の子、そう呼ばれて疎まれていました。だから嫌いなんです、八重歯…」


想像を絶する幼少期を過ごしていたのか、こいつは。
煉獄と伊黒の影に隠されそれを話すの声は震えていた。

違う、俺はそんなやつらと一緒の意味で言ったわけじゃねェ。


「悪かったな、思い出させるような事言っちまって。
だが、俺は純粋に可愛いやつだなァと思って…可愛いっつーか、あれだ、似合ってるつーか…」

「ぷっ、っ…ごめんなさい…」

「オイ甘露寺に宇髄それ以上笑ったら殺す…」

「…まっまぁあれだろ、はその八重歯も含めてだし気にすんなって言いたいんだろ」

「いや、まァなんか違うがまぁそんなもん…そうかァ?
……少なくとももうそういう風に言うやつはいねェってことだ」


言ってるこちらが恥ずかしくなり頭をポリポリかいた。

伊黒ももプルプル震えてんのが分かる。
その二人の肩に優しく手を置く煉獄。

まさかこいつら泣いて……?

そう思い二人の間に割って入ると、顔を赤くして笑いをこらえていた。


「殺す…立てェ…!お前ら二人まとめて殺してやる…木刀もってこい」

「ちが、ごめ…んふっ…ありがとうございます」

「兎に角…大丈夫だ…ククッ」

「うむ、もう今は既に過去を気にする必要はないということだ」


クソせっかくこっちが慰めてやろうと必死に言葉選んでやったのに、こいつら笑いやがって……!
腹立つクソ野郎クソ女共ォ……!

あははっと皆で笑い合う姿を見て、さらに怒りが込上げる。

しかし、手で隠すことなく涙を目にためながら笑うの顔を見たらどうでも良くなってしまった。



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