第1章 花信風 滝澤 /平子
目が覚めるとなんだか薄暗く冷たい部屋のベッドに私はいた…。
いつも持っているクインケも無い。
全ての荷物が見当たらない。
でも、記憶を辿ると最後に私の名前を呼んだのは政道さんだ。
何故か落ち着いている私がいる。
政道さんは私に酷いことはしないと思ってる?
でも、琲世さんの事を追い詰めた喰種である事は間違いない。
それに、たくさんの人が殺された。
なのに、何もされないなんてことがあるのだろうか。
保証なんてどこにも無い。
丈さんから連絡が来ていたらどうしよう。
心配させたくない…。
目を瞑り、時が経つのを待った。
少し経って、静かに部屋のドアが開けられた。