第4章 約束
そんな真子に別れを告げて、わたしは帰路を急いだ。
「慧太くん、ただいま」
「おかえり那子さん、帰ってきて早速だけど…行こっか」
指輪を売っているお店が近かったから、徒歩で行くことにした。彼に手を引かれて、エスコートだなんて。慧太くん、本棚を一緒に買いに行った時は手を繋ぐことに照れていたのに。これも慣れたのかな…?
「着いたよ」
高層ビルが立ち並ぶ街に似合う、外見からきらきらと輝くお店。さすがアクセサリーを売るお店だなぁ…なんて思う。
「那子さんがときめいたものにしよう?結婚指輪は一生に一度しか選べないから」
そう言って慧太くんは繋いでいた手を離した。
一生に一度。結婚は一般的にはずっと同じ人と…考えなくてもいいことが頭を駆け巡る。そっか、わたし、一生慧太くんの傍ににいることになるのか…
……慧太くんは、わたしのことをどう思っているの?
そんな簡単なことを、わたしはまだ聞けずにいる。