第3章 親友と君と
布団を被り、昨日と同じように彼の手を取る。
「今日も入れてもらって…ごめんね」
「ううん、僕は大丈夫」
彼はにこりと微笑む。こうやって2人でベッドに入ると、いつもより距離が近いのを意識させられてるみたいで自然と心拍数が上がってしまう。
「……2人で入るとやっぱり狭いなぁ…新しいベッド買うべきかな……」
一人言として呟いたつもりだったけど、彼は同じベッドに入っているから聞こえていたみたいで。
「それいいかも。2人で住むんだったらゆくゆくは必要になると思うし…でも、大きいベッドを買ったら那子さんはずっと僕の隣で寝てくれるってこと…?僕はそれでいいけど……」
……いま、なんて……?
数秒経ってから理解した。『同じベッドで寝る』ことの意味。夫婦だから当たり前かもしれないけど、そういうことを『する』のだ。
今は、考えても仕方ないよね…
「……慧太くん、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
わたしは眠りにつくことにした。一方通行の『好き』はまだ通じていない。