第3章 親友と君と
「お取り込み中、失礼するね」
「あっ、結城さん!お疲れ様です!」
真子が真っ先に返事をした。そんな真子に軽く笑みを送る結城さん。どうやらわたしに用があるらしい。
「篠宮さんに急ぎの案件を頼みたくて…今、いい?」
「はい、大丈夫ですよ」
わたしは結城さんから仕事の一通りの説明を受ける。
「…それじゃ、これよろしくね」
「わざわざお昼休みにありがとうございます」
手を振って去っていく結城さんをよそに、わたしは渡された書類を確認した。うん、これくらいなら今日中にできそう。
「那子ちゃん、気づいてないの?」
「……なにが?」
「結城さん、あの態度だと完全に那子ちゃんのこと好きだよ」
「えぇ~……?そんなことないと思う…」
そもそも、結城さんがわたしに好意を寄せる理由が分からないもの。それに今は旦那さん…慧太くんがいる。
「…真子こそ、結城さんのこと好きでしょ?」
「……やっぱ那子ちゃんにはバレてた?」
そう言って、少し顔を赤く染める真子。恋する女の子って可愛いなぁ。
「結城さん、顔整ってて仕事もできるし…かっこいいもんね。わたしは応援するよ」
「ありがと~!さすが那子ちゃん!」
よしよし、と真子の頭を撫でて、わたしは仕事を再開した。