第16章 俺の幸せ
かかしサイド 続き
すると、ナルトがマユにそっと言った。
「ほら、マユのねーちゃんから言うってばよ」
そう言われて、うなづいたマユは俺をみて、改めてにっこり笑って言った。
「かかし。あのね、赤ちゃんができたって」
「__________え…?……うそ?」
思考が一瞬とまった。
俺とマユの?
赤ちゃん?
「ほ、ほんとに!!!?」
火影椅子に座っていた俺は、ガッターンと盛大に椅子を倒して思わず立ち上がった。
周りはまたもや俺の新しい反応に大笑いに包まれる。
この俺が父親に??
頭がパニックだ。
いやそれよりも、目の前に映る妊娠している彼女がこうも更に愛しく思えるとは。
マユと人生を共に生きていくことはもう決めていたが、忍界対戦、火影就任となにかと忙しく、結婚はまだ先だろうと思っていた。
それにこの展開は幼少期の頃の俺からは、まったく想像していなかった、いやむしろこんなことはあり得ない未来だと思っていたが、それが次々とくつがえされる。
俺たちの幸せをこの上なく喜んでくれている部下たち、そして今も変わらず共にいてくれる愛する人、そしてその中に宿る小さな命…
すべてが俺の心を撃ち抜いた_____
ナルト「えぇ!?かかし先生ってば…泣いてる!?」
俺はもう忍びとして感情を表にだすことはなくなっていた。だが、マユと出会って、唯一俺が感情を表に出せる場所がそこだけだった。
教え子達の前でなんて一度も‥‥
まさかと思い、頬に手を当てるとそこには暖かい雫がこぼれていた。
こうも俺をたやすく変えてしまうこの部下たちと、愛する人よ。
俺の涙をみて、周りの女の子たちはつられてもらい泣きしている。もちろんマユも。
男の子たちは、俺の感じる幸せを一緒に感じてか、照れ臭そうに笑っていた。
そして改めてみんなにお祝いしてもらった。
本当に、本当に幸せだ_________