第13章 失いかけたもの
かかしサイド
病室___
ベッドの上でいろいろと思いを巡らせていると、綱手様が入ってきた。
「かかし。具合はどうだ?」
「綱手様…」
起き上がろうとするが、まだうまく力が入らない。
「そのままでいい。まぁ、お前はいつも通り1週間てとこか」
「すみません…」
「いや、謝るのはこっちだ。お前にもマユにもすまないことをした…お前たちがヒルコを倒し、そろって生きて帰ってきてくれたことに感謝するよ。
本当によくやってくれた。ありがとう。」
頭を深々と下げる綱手様にちょっと驚いた。
「そんな。綱手様。顔をあげてください」
顔を上げた綱手様は、まだ厳しい表情をして俺をみた。
「綱手様…?」
しばらく俺を見つめたあと、静かに話し出した。
「マユのことだがな。お前も見てわかった通り、酸による全身のやけどがひどかった。
彼女の血筋のおかげで命には問題ない。
だがな、今後数回による皮膚の移植、それによる今後の皮膚の融合の状態、リハビリと、何かと時間がかかる…」
俺たちの間には、重い沈黙が流れた。