第12章 それぞれの思いと戦い
かかしサイド 続き
軽い頭痛とぼんやりする頭を叩きながら冷静になる。
ナルトがここにいて、俺が生きているということは‥…
ヒルコは生きている…?
「ナルト!マユは!?」
辺りを見回すと、遠くに白い大きな繭玉がごろりと転がっている。
ナルトと共に駆け寄っていく途中、グシャグシャと繭が崩れ始めた。
「かかし先生…これって‥」
立ち止まり警戒する俺たちに、突然強い圧力が襲い掛かってきた。
「くっ…!」
「うあぁ!」
俺とナルトはまた壁際まで飛ばされた。
「許さない…許さん!!」
崩れる繭からヒルコが、酸による大やけどを覆いながら地面をはって出てきた。
グシャっと形を崩した繭玉に同じくやけどを覆ったマユの小さな体があらわになった。
「マユ!」
あぁ、わずかながらチャクラを感じる。
まだかろうじて生きている!
「かかし先生、いくってばよ!」
ナルトも時間がないことは悟ったのだろう。
いろんな意味で動揺する俺よりも早く反撃体制をとった。
「あぁ」
教え子に引っ張られるとは、なんとも情けないような、それでいて成長がうれしいような複雑な気持ちも湧いたが感傷に浸っている場合ではない。
「口寄せの術…!!」
「「!!」」
ヒルコが口寄せしたものは、なんとも巨大で奇怪な獣だった。
「なんなんだよ…これってば…」
息をのむ俺たちをよそに、見上げる獣は戦闘態勢をとっている。と、そこに降ってくるいくつもの気配。
「かかし先生!ナルト!こっちは私たちにまかせて!」
聞きなれたさくらの声が聞こえたかと思い振り返ると、そこにはさくら、サイ、そしてほかのナルトの同期一同が追いついて立っていた。
「わかった!さくら!マユを頼む!」
そういうとさくらは大きく頷き、マユの元へと走った。
そこから俺とナルトはヒルコを、他は口寄せ獣を相手に戦いがはじまった。