第12章 それぞれの思いと戦い
マユサイド
綱手様に施してもらった時限式の術が発動する。
歓喜に沸いていたヒルコは油断しており、蜘蛛の化身となった私の繭玉にみごと私とともにくるまれた。
その瞬間私を操っていた術が緩み、私は状況を把握した。
あとはお前をここから逃さず共に死にゆくのみ。
と、その時、左側からとても懐かしい気配を感じた___
繭玉の中で見えないが、その懐かしい暖かい気配のほうを向く。
かかし_______
凄まじい力がかかしのいるほうから感じ、繭玉ごとぐいぐいと引き寄せられる。
そうか神威をつかったんだ___
これで万が一ヒルコがここから抜け出せても、私が先に力つきたとしても、奴が世にでることはない。
やっぱり来てくれたんだね…
最後にかかしの気配を感じれることがうれしかった。
「グぁあああぁあ‥…」
私に拘束されたヒルコが繭玉の中で酸により苦しみもがく。
自分自身にも容赦なく酸が襲い掛かる。
こいつが死ぬのを見届けるまでは…と思い、必死に耐え続けた。