第11章 呪印と運命
かかしサイド
火影室______
予想しなかった出来事に、綱手様はうなだれていた。
だが、ゆっくりしている暇もない。
ヒルコは幻影を使って第4次忍界対戦の宣戦布告をしてきており、そのヒルコが木の葉の抜け忍であることから他里からも更に強い反感をかっていた。
忍界対戦の前に木の葉の里に危険が及ぶ可能性が高い。
綱手様の頭はもういっぱいなのだろう。
俺もマユもそれを痛いほどわかっていた。
「綱手様…私は純粋な血継限界の持ち主です。
ヒルコの最終目的はかかしから私に変わりました。
私は、これまで受けた恩をお返しするためにも一人で背負う覚悟はできています。」
「‥‥」
綱手様はマユの言葉を聞いてもしばらくうつむいていた。
しばらくの沈黙のあと、覚悟を決めたように一呼吸つく。
「かかし…申し訳ないが、お前をマユと一緒にいかせるわけにはいかない。今の状況ではいつ里が攻められてもおかしくない。すまないが…お前には木の葉に残って里を守ってもらう…」
綱手様は俺が一緒に行きたいという気持ちもわかっていた。だが俺とマユ両方の戦力を今同時に失うわけにはいかない。火影としては妥当な判断だ。
「マユと俺は…それについても理解しています。
俺たちはそれぞれの場所で守る事を決めました」
「2人とも…本当にすまない…」
マユはそっと木の葉の額当てを外し、綱手様の机へ静かにおいた。
「綱手様。1人だった私を受け入れて下さり、これまで木の葉の忍びとして生きてこれたことに感謝します。
…最後の任務にいってまいります」
綱手様は、頭を下げたまま
「あぁ…頼む」
と静かに返答した。
その後、マユは俺と同様に時限式の術を綱手様からほどこされ、俺たちは火影室を後にした