第11章 呪印と運命
かかしサイド
また同じ夢を見ていた…
あいつが俺にまた手を伸ばしてきたところでバッと目覚めると、そこにはすでに目を覚ましていたマユと、その先にいるこいつ___背筋に冷汗がたれた。
「ヒルコ…」
そういったと同時に、腕に激痛が走った。
くそっこんな時に‥‥!!
痛みに崩れ落ちそうな意識をなんとか保ち、腕をみるとズルズルと呪印が自身の腕から抜け出しマユの腕へと移っていく。
「そんなっ‥…ぐ…あぁ…」
奴が何をしようとしているのか予想がついた。
頼む、それだけはっ…
俺の願いもむなしく呪印はすべてマユにうつり、マユは意識を失った。
不気味に笑ったヒルコをにらみつけながらも、俺の意識もあっけなく途絶えてしまった。
__________
目が覚めた途端、辺りを見回すがそこにはもう誰もいない。変わらぬ俺たちの寝室だった。
隣でまだ意識をうしなっている愛しい人を抱きかかえる。
どこにもケガがないことを確認し、安堵したと同時に彼女の腕の呪印が目に入った。
くそ…どうしてこんなことに…
俺が受け止めるはずだった運命を彼女が背負ってしまった‥
たくさんの感情があふれ出し止められない。
いくつも涙が伝ってそのまま彼女の顔に落ちていった。
「かかし…泣かないで…」
うっすらと俺の腕の中で意識を取り戻した愛しい人が、手を伸ばし俺の涙を拭きとっていく。
彼女はすでに事の重大さになんとなく気づいているようで、取り乱す様子はなかった。
「話してくれるよね?」
覚悟を決めたように俺をまっすぐ見据えた。