第11章 呪印と運命
最近かかしの様子がおかしい。
元気がないのに隠しているようだった。
本人がまだ言えないのなら…と様子をみていたがそろそろ聞いてみてもいいかもしれないと感じていた。
明日休みだって言ってたから明日聞いてみよう…そう思い今夜は眠りについた。
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ん‥‥まだ朝じゃないよね…
なぜか寝苦しく思い、目を開けると、目の前に包帯がぐるぐるに巻かれた髪の長い少年が浮かんで立っていた。
「ひっ」
そいつは不気味に笑ってこう言った。
「本物‥‥見つけた…」
そいつに鋼の糸を飛ばすが実体はなく幻影のように揺らめいていた。
鋼の糸はむなしくも彼をすり抜け、壁に突き刺さる。
と同時にかかしも目覚め驚愕していた。
「ヒルコ…」
ヒルコ…?
かかしはそいつを知っているようだった。
と突然かかしの腕が光り痛みに悶え苦しむ。
「一体何したの!?」
腕を押さえて苦痛に苦しむかかしをかばいながら、そのヒルコと呼ばれる幻影をにらんだ。
不気味に笑うそいつが指さす方を見ると、かかしの腕から真っ黒な呪印がずるずると抜け出し、私の腕に吸いこまれはじめた。
「なっ‥‥!?」
恐怖と痛みで声が出ない。
ヒルコというやつは終始その光景を満足そうに笑って見下ろしている。
悔しいけど、何もできない…
そしてすべて私の腕に吸い込まれたと同時に私は意識を失った。