第11章 呪印と運命
かかしサイド 続き
火影室____
「そうか…ヒルコがお前にそんな前から目をつけていたとはな…」
綱手様はヒルコの名前を出すとすべてを察した。
木の葉以外の里では、血継限界の忍びが狙われ、失踪事件が相次いでいるという情報がすでに入ってきていた。
木の葉以外…それが他里にとっては、木の葉の仕業ではないかという疑いが強まっていた。
もちろんそんなことはない。
だが、首謀者であるヒルコは、まぎれもなくこの里の抜け忍である。
いくら木の葉が何もしていなくても、抜け忍が木の葉の物である以上、他里も黙ってはいないだろう。
それにこの呪印の意味は…
「綱手様…お願いがあります」
俺の心中を伝えると綱手様はどこにもぶつけようのない怒りをあらわにした。
「お前はこの私に、里を守るために部下を犠牲にした火影と呼ばれろというのか!?」
「はい、そのつもりです…この呪印には逆らえません。
俺が行かなければどのみち里も、世界も助かる道はないんです。」
綱手様は、俺のまっすぐとした言葉を真正面から受け止めた。そして、視線を落とし続けた。
「マユは…どうする…」
あいつはきっと俺の決断を許さないだろうな…
「彼女は血継限界の純粋な持ち主です。ヒルコは俺に目をつけていますが、彼女のように更に濃い血筋をヒルコに与えるわけにはいきません。
それに、忍びにもどった時に、忍びに起こりうることについては覚悟を決めているはずです」
そこまで言うと綱手様はもう何も言わなかった。
「綱手様には、ほどこしてほしい術があります。」
そういって俺たちは暗室へ移動し、綱手様に時限式の術を施してもらった。