第10章 身近な死
かかしは私の涙を拭いて言った。
「忍びはいつでも死と隣り合わせだ。
それは、忍びに戻るのを決めたときマユ自身も覚悟を決めたことだよね?それでもさ、俺にはこうして生きて帰りたい場所と理由があるんだよ。
絶対とか、約束なんて確かに保証はない。
それでも…それでも俺を信じて待っててくれない?
俺は生きてマユのもとに帰ってくるから」
ここまで覚悟を決めて行く彼を止めることはできず、だまって頷いた。
「かかし、私もアスマさんのことすごい大切な仲間の一人だったんだ。一緒にいけないけど、かかしのことを守るために、アスマさんの仇うちのために、手交術もう一度たくしてもいい?」
「わかった。お前の気持ちも一緒に持っていくから」
そういってかかしは自ら私の右手を自身の胸にあててくれた。
どうかアスマさんの仇を、かかしを、みんなを守って。
私の思いと共にかかしの中に術が静かに吸い込まれていった。
そしてアスマ班メンバーとかかしは里を後にした。
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どれだけ体や術を鍛えても、やっぱり心を、精神を鍛えるのは難しい。それが身近な人の死となるとなおさらだ。
今回かかしが私を置いていくことは正しかった。
ナルトくんの修行を静かに見守りながら、彼の曇りのない強くなりたいという気持ちを思い出した。
隣にやってきたヤマトさんが声をかけてきた。
かかしの後輩ということで紹介されていて、2人の会話は聞いていて、かかしのまた違った一面が見れておもしろい。
「マユさん。これから24時間以内にナルトの新術が完成できたら、かかし先輩の援護に向かいます。」
無言でヤマトさんを見つめると彼はそのまま続けた。
「先輩が今回マユさんを連れて行かなかった理由は聞いています。ナルトはきっとやり遂げますよ。
マユさんは俺たちを信じて待っててください」
「私、今回のことでほんとに自分はまだまだだなと思いました。私も、もっと強くなりたいと思います。みなさんが無事に帰ってくること、信じて待ってますから。」
そういうと、ヤマトさんは笑って頷いたあと、ナルトくんの傍に戻っていった。