第10章 身近な死
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あれから月日は流れた。
最近かかしはヤマトさんと一緒にナルトくんの新術の修行で家には帰ってきてない。
私は時々様子を見にいって差し入れをしていたが、術の開発はやはり容易でない。
邪魔もしたくなくてこっそりいって様子を見ている程度だった。
今日は、差し入れどうしようと考えていたところ、かかしが突然帰ってきたことに驚く。
「あれ?帰ってきたの?着替え、たりなかった?」
不思議そうに尋ねる私に、かかしは無言でどんどん近寄ってきた。
生気の失われたかかしの瞳を見るなり不安がこみ上げる。
立ち尽くす私の肩にかかしがうなだれるように頭をのせ、抱き寄せて静かに言った。
「アスマが…亡くなった…」
途端に心臓がドクドクと跳ね上がり、かかしの言葉が頭の中で繰り返される。
アスマさんが…
___わかってる、忍びである以上、こうなる可能性があることも。
死なないなんて約束は絶対じゃないことも。
わかってるんだよ、かかしも、私も、忍びであるみんなも…
そう何度も自分に言い聞かせても、とめどなく流れる涙は止められなかった。
紅さんのことを思うと、ひどく動機がした。
次、最愛の人を失うのは私達のどちらかもしれない。
身近な人の死が、リアルに自分たちにも襲いかかる。
私の肩がじんわりと濡れるのを感じ、胸が引き裂かれていくように痛い。
抱き寄せられたかかしの手が、震えながらも力がはいる。
ねぇこれ以上私達から奪うのはやめてよ…
誰にそう言っていいのかもわからないけど、そう願いざるを得なかった。
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葬儀はしめやかに行われ静かに終わりをつげた。
アスマさんは、木の葉にきて新しくできたお兄さんみたいな存在だった。
大きくて、かかしとは違った優しさのある男らしい人で何より紅さんをとても愛していた。