第9章 ツーマンセル
かかしサイド
マユの様子がおかしいな…
そう感じた瞬間、彼女はしびれを訴えてそのまま地にふせた。
大勢の忍びをただの駒として使い、最後にたった一人で出てきたそいつに俺は嫌悪した。
急いで終わらせて、マユを木の葉に連れ帰らないと…
写輪眼でさっさと終わらせる!
俺は止まることなく一気に交戦を続けた。
なかなかしぶとい奴だったため、若干マユの様子が気になった隙を狙われ、攻撃を仕掛けられた。
「しまったっ…」
変わり身でよけたが、止まらない連続攻撃に足元をすくわれた。
致命傷にはならないだろうが、よけきれないっ‥そう思ったとたん、体の中が熱くなりマユの声が頭に鮮明に響いた。
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『糸遁・手交術・繭糸防壁・連弾衝…(しとん・しゅこうじゅつ・けんしぼうへき・れんだんしょう)』
『万が一の時、かかしを守ってあげられるおまじない』
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自分の胸の中心から一気に糸がでて壁を作った。
続けて飛んでくる攻撃にも連続して、鋼のような糸の壁は俺を守り続けた。
相手もなぜ俺が糸の壁をだせたのか、混乱したその隙を見逃さず俺は距離を一気につめ雷切を放った。
自身の胸をなでおろしてみるが、まるで何もなかったかのように糸の壁は消えている。
「あの時、すでに俺に渡していたのか…俺の事守るために…」
手交術…手から相手に直接渡す術だったか…
聞いたことはあっても、実際に見たことはなかった。
さすが血継限界の持ち主だなと、自分の彼女ながら感心した。
そして俺はマユを抱え、急いで木の葉へもどった。
幸い、生け捕りにするための目的として使われた毒のため、命に別状はなく治療も問題なくほどこされ、俺は今こうして愛しい人の寝顔を見つめている。
「俺ももっと強くならなきゃ…しっかりお前を守れるように…」
彼女の手を自分の左目にかざして、俺はまた誓うのだった。