第8章 金色の太陽の子と私
かかしサイド
今日は任務も早く終わって、俺もマユも夕食を早々すませてのんびりと過ごしていた。
マユはどことなく元気がないというか、考え事をしているようだ。ま、言いたくなったら本人から言うだろうと思い俺からは何も聞いていない。
マユはちょこちょことナルトの修行に付き合っているようで、ナルトからもマユはすごいだの、強いだのといろいろ聞かされていた。
一度2人を迎えに行って、2人の夢中になっている姿を離れた場所からみていた時も、マユは強いな‥と俺自身も思ったほど。何よりあの時の彼女は楽しそうだった。
「かかし…」
うつむいていたマユが、俺をじっと見て言う。
「…どうしたの?」
「私…やっぱり忍びにもどる。」
「え!?」
あまりにいきなりすぎて、びっくりしたと同時に動揺した。
「ずっと考えてた。自分がこのまま忍びとしてのスキルもうしなって、ずっとみんなに、かかしに守られて、平和に暮らして…最初はそれでもいいと思ったんだよ。
でも、もし万が一かかしに何かあったら?
もしこの里に何か起こったら?
私は、この力をもっていたにも関わらず、何もできなくて、守れなくて、ただ失うしかないような状況に陥ったら…
私はきっと自分を許せないよ。」
「でも…でも忍びに戻るということは、お前にもそれなりに危険がつきまとうわけで…俺は、俺はあの時お前を迎えに行ったときに、あんな思いは2度とさせたくないと思ったんだ」
彼女は若干焦る俺をみて笑った。
「かかし、私はあの時の私とは違うよ。帰る場所も、仲間も、恋人もできた。だからこそ、あの時よりも生きていることを実感できるし、もっと強く生きようとしている自分を感じる。かかしも…そうなんじゃない?」
「…そう…だね。マユがいてくれるから、前よりも心は強くなったと思う」
「かかしが私を、みんなを守りたいように、私にも忍びとしてかかしを、みんなを守らせてくれない?」
俺は、頭をガクンとたらし、しばらくうつむいた。