第8章 金色の太陽の子と私
そんな、そんなかわいく言うなら仕方ない…と本を返し、冷蔵庫にしまっていた夜ご飯を温めなおした。
結局私はかかしに勝てないのだ。
かっこいいのに、かわいいだなんて、いったいどうすればいいのか。ハマったら負けってやつか…と肩を落とす。
「いや、今日ね修行にでていたナルトが2年ぶりに里に帰ってきたんだよ~。どれだけ成長しているか確かめるためにさくらも一緒に演習やっててさ。
あんな子供だったのにほんと成長してて、俺も年取ったってさすがに実感したよ」
ご飯を食べながら嬉しそうにかかしは話してくれた。
ナルトくんか。話には聞いていたけど、かかしほんとにうれしそうだなぁと私もうれしくなった。
「でもさ、なんでその本に夢中なの?全然話聞いてくれなくてびっくりしたし」
「あ~これは自来也様の最新作なのよ。もうなかなか出なかったからうれしくって。ついつい夢中になっちゃってさ」
あぁ、よく見たら見覚えのあるロゴが書いてある。
あの大人の小説か…。
初めはわからなかったけど、ちょっと内緒でパラパラと見たことがある。
私も子供じゃないとはいえ、改めて文字におこされている文章をみるとやっぱり恥ずかしかった。
かといって、そんな本を読む彼を否定するつもりもない。
かかしと肌を重ね合う度に、毎回翻弄される私は、かかしの変態…と思いながらも、その時に垣間見れる余裕のない彼ははなんとも魅力的で、私を簡単に欲情させる。
その本に影響を受けている、いないにしても、そういった一面も大好きなのだ。
その後、ベッドに入っても隣で本に夢中になっているかかしを横目に、なんだ今夜はイチャイチャしないのか~なんて残念に思いながら私はあきらめて先に眠りについた。