第5章 木の葉隠れの里
数分、物思いにふけっていると目の前にスタッと何かが現れた。
「ひっ!?」
「あれー?もう起きてたの?」
そういってかかしが窓辺に降り立った。
感動していたら、ふいに驚かされ腰を抜かしそうになったところをかかしが支えてくれた。
「かかし、ほんとびっくりしたから」
あわてて涙を拭きとる。
「ごめん、ごめん。いや、朝一の用事すませたついでに、顔でも見ようと思ってね」
「まさか窓からくるなんて。今情けないことに受け身もとれないんだから」
「ま、マユはもともと強いだろうから、こんな弱ってる姿はまずなかなか拝めないでしょーね」
そういってからかうように笑った。
「かかし」
突然真面目なトーンで呼んだ声に、かかしは少し目を見開いて私を見た。
「私の帰る場所に連れてきてくれて…ほんとにありがとう…」
人前で泣くことなんて今までなかった。
もともと一人だったし。
誰かがいたとしても涙はみせまいと誓っていた。
でも目の前の朝日に照らされて、キラキラ光る銀髪のかかしが、あんまりに優しい雰囲気で私を包んでくれるから、せっかく拭いた涙もまたあふれてきてしまった。
かかしはすごくうれしそうに笑って
「お帰り、マユ」
そういって涙を拭いて自分の胸に優しく抱き寄せてくれた。かかしの暖かい胸の中で一気に涙腺が崩壊した。